関西竜魂「戯言」

関西出身でも、野球を知ったときからドラゴンズファン

2018/12/2  ドラフト1位 根尾 昴 (大阪桐蔭高)

何球団が彼を指名するのか。
6球団とかそれ以上という報道もあったため、私ゃ完全にビビッてしまい、絶対無理と思って情報を遮断してたんやけど、スマホのニュースの通知が勝手に、しかも突然に「中日が根尾の交渉権獲得」と表示したもんやからビックリ。
二度見してからニュースを確認して、歓喜したのよね(照)。
甲子園のスーパースターがその熱気を持ち込むというのは、ひょっとしたら立浪氏以来やろか(福留は社会人経由)。
チームはたった一人によって激変することもありますんで、彼の交渉権獲得は現在のドラにとって、エポックメーキングなイベントになるかも知れまへん。
この指名だけで今季の不成績を忘れそうになるくらい、間違いなく素晴らしい出来事だわ(笑)。
いやぁ、長いドラファン生活の中でも、最も幸せなドラフト指名やったね。
ホンマ、来季が楽しみですわ~

肉体的なスケールとしては、177cm、78kgと、現代のプロ野球界では小柄とも言える数値ですな。
しかし遠投115mを始めとして、50m走は6.1秒、さらに小学時代はソフトボール投げで史上最高記録、中学時代はスキー回転で優勝経験を持つなど、その肉体に秘めた瞬発力や、体幹の強さはズバ抜けてることは明々白々。
さらに投手としては最速150kmのストレートを誇るという、まさに何でもできるスーパーユーティリティ・プレイヤーやと言えますな。
こんだけキラキラなルーキーは、ドラにとってはホンマに久しぶりですわ。


…しかし結局、二刀流の話はなくなったようやね。
正直なところ、さすがに根尾君は大谷のようなバケモノやとは思えんので、野手として一級品になって欲しいと思ってただけに、その方向性を歓迎したいですわ。
そうなるといったい、彼にどのポジションを守らせるのか。
彼自身はショートを希望してますが、ドラにはそのポジションに確固たるレギュラーとして、京田が存在してますな。
打つ方はモノ足らんけど、守る方は守備範囲が広くて強肩、堅実でもあり、将来はそこでゴールデン・グラブを獲得することも、荒唐無稽な話ではないのと違うかな。
そういうレギュラーを押しのけて、彼はショートのポジションを獲得できるんやろか。
彼の守備は、京田を堅実と評するなら、華麗と言ってしまえる気がします。
フットワークは弾むような軽快さを感じさせ、投手としての肩を生かしたスローイングは、どの体勢からでも強いボールを投げられる。
若干、腰高な印象はあるものの、現状でも十分、プロのショートで通用するやろね。
ただし京田と比べてどちらが上手いかと言えば、現状ではさすがに京田でしょう。
守備範囲や安定感で差があると感じます。
問題は将来性やけど、この差が埋まっていくのか、さらに逆転できるのか、可能性はあるでしょうが確たることは言えまへん。
言えるとすれば、京田は大学ジャパンでセカンドをしっかり守れた、ということくらいやろか。


打撃の方も、甲子園やU18ジャパンで証明しましたが、改めて言うまでもなく非常に高い能力がありますな。
とくに目を引くのが、ズバ抜けた体幹の強さを生かした軸回転の鋭さ。
軸ブレなく強く、鋭く回れるため、ボールを懐まで呼び込んで打ち返せる。
腕とバットをムチのように使えるため、ヘッドが効いて強い打球が伸びるし、センター中心に広角にも打てる。
キャラクターとしてはミスター・ドラゴンズ、立浪氏を彷彿とさせますが、打撃のメカニズムとしては立浪氏より強い打球を打てるかも知れまへん。
しかし一方で、気になるところもあります。
彼は二段テークバック、つまりテークバックしてトップを作った後、さらにもう少し手首を引いてからスイングしてるのよね。
本来なら手首はトップの状態で固定して、そこからスムーズにスイングに入るはずが、さらにテークバックが深くなるため差し込まれやすいんやないか。
現状ではプロの内角へのストレートは、まず打てんと思います。
ここは入団後に、しっかり修正する必要があるやろね。


まだ彼は高校生なんで、少々欠点があったとしても、何とでもなるでしょう。
あれこれ書いてきましたが、何より彼を評価したいのはその頭脳です。
インタビューを聞いてて、「ホンマに高校生か?」と驚愕してしまったんやけど、彼の自己分析力であるとか、目的意識とか、さらに周囲の観察力とか、これは大人でも見られんようなレベルでしたわ。
彼のあの意識なら、指導者や環境などに左右されず、勝手に自ら成長できるやろ。
ただ野球がうまいだけの選手はいるけど、ホンマにプロのスターになれるのは一握り。
あんだけ素材を絶賛されてる周平が、7年間かけてやっとレギュラーを獲るレベルでモタモタしてますが、素材がええから必ずスターになれるわけやないのよね。
プロ入団後は「どうやって成長するか」、これが一番重要な要素であり、そのノウハウが本人や周囲になければ、成長曲線は低いものになってしまう。
それでも根尾君の場合は、本人にそのノウハウがあるので、スターの座は約束されたものやないかな。
問題はそれが何年後かということやろね。


彼の入団によって、内野の競争が激化するのも確実ですな。
ショートの定位位置を脅かされる京田、その京田のコンバートでサードへ回されるだろう周平、そしてその周平とサードを争うことになる福田らは、せっかく手にしたばかりのポジションを失うことになるかも知れまへん。
根尾君への指名が確定した時から、連中の目の色は変わったはずであり、そうでなければおかしい。
来年はキャンプから、内野で火花がバチバチ飛び散るやろね。
今季は今一つブレークしなかった連中が、レベルを一つ、二つ上げることが大いに期待できるというのも、彼による効果やと言えますわ。
ホンマに楽しみですわ。


将来はメジャーへ?ってなマスコミの質問に、「ボクはドラゴンズに縁を感じています」と無難に答えたのも、個人的には好感を覚えてます。
「札幌からメジャーへ!!」なんて大望を口にした大物ルーキーがいましたが、『オタククは腰かけ』的なこと言われた気になって、個人的には好きになれまへんでした。
おそらくスターになれば彼も具体的に進路を語るでしょうが、それまではドラで活躍することだけを考えてもらいたいもんです。


最後に、根尾君を開幕から使うのは止めてもらいたいと、強く訴えたいね。
アマとプロの一番の差は、長いシーズンで安定して自らのパフォーマンスを発揮するための、強靭なフィジカルがあるかどうか。
技術的にプロレベルであっても、体力がなければ、故障したり成績を下げたりするだけです。
とにかくまずはプロの身体を身に付けること。
ルーキーシーズンからレギュラーとして出場しながら、早々に肩を壊してセカンドにコンバートされた、立浪氏の轍は踏んで欲しくありまへん。
早く彼がプロの身体となって、ナゴドのフィールドに立つことを、心から待ってます。
頑張れ!!

 


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